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新しい教養教育の取組み:より幅広く、より学びやすく整理された自然科学系科目

彦坂泰正教授(自然科学部会長)

富山大学での教養教育改革の一つとして、自然科学系科目については、令和4年度から授業科目の一部が変わります。どのような改革が進められたのか、インタビューしました。


Q. 自然科学系科目はどのような科目でしょうか。

A. 自然科学系科目は、大学受験で理系科目をあまり利用していない学部の学生を主な対象とした理系科目群です。現代の社会生活に必要となる自然科学・科学技術についての基礎知識の習得と科学リテラシーの向上を目指しています。自然科学の様々な分野の授業を用意しており、世界の成り立ちから身の回りの自然現象、様々な科学技術について学ぶことができます。そこでは、基礎的な学問知識だけでなく、各先生が行っている最先端の研究にも触れることができるでしょう。


Q. 文系学部の学生は、自然科学系科目にあまり興味を感じないのでは?

A. 環境問題を議論するには自然科学の知識がベースとして必要とされるように、自然科学や科学技術に関する知識やものの見方を知ることは、現代社会において文系・理系を問わず必須です。もちろん、特定の問題解決に必要な知識をそのまま学ぶことにはならないかもしれませんが、自然科学系科目での学習をきっかけとして、関連する様々な分野に幅広く興味を持ち、自らの好奇心に導かれて知識を深めていくことができるようになってほしいと思います。


Q. 令和4年度から自然科学系科目の編成はどのように変わりましたか。

A. これまでの11科目から、科目名の変更といくつかの科目の集約によって「自然科学への扉-A,B,C」、「科学技術への扉-A,B」、「生命の世界」、「社会と情報の数理」、「デザインと生物」の8科目に再編されました。個別分野に特化した基礎知識よりも、より広範な対象を学習できるように志向した変更です。これまでよりさらに効果的に自然科学・科学技術について学んでもらえるようになったと考えています。


Q. 令和4年度の変更によって科目選択の幅が狭くなったように思えます。

A. 確かに履修できる科目の最大数が11から8に減ったことになりますが、1人の学生がそれだけの科目数をすべて履修することはほとんどありません。学部にもよりますが、これらの中から1つか2つの科目を選択する人が多いと思います。その限られた履修の中で、できるだけ幅広く自然科学・科学技術に触れてもらいたい。そのための変更ですので、前の質問への回答のように大きなメリットがあると思います。


Q. 令和4年度の変更で気をつけるべき点はありますか。

A. 令和3年度までに入学した人にとっては、入学時に示された科目とは違った科目が開講されることになります。新科目の単位を旧科目の単位として取得できますので、履修を行う場合には対応を確認して新科目を履修して下さい。新旧対応表は、教養教育院のwebページにも示されています。よく分からないようであれば、教養教育支援室に問い合わせてください。


Q. 自然科学系科目の履修についてのアドバイスを聞かせてください。

A. 自然科学系科目は、ほとんどの科目で複数コマ開講されています。各科目の到達目標やねらいは統一されていますが、授業内容は担当者ごとに味付けが違います。そのため、履修に際してはシラバスの授業計画や履修上の注意をよく確認し、自分の好みにあった授業を選ぶようにしてください。


Q. 最後に、特に文系学部の学生に向けてメッセージなどを聞かせてください。

A. 高校までの理科や数学の授業で、たくさんのことを覚え、難しい問題を解くことを強いられて、理系科目が嫌いになっている人がいるかもしれません。自然科学系科目では、これまでのような受験を念頭に置いた勉強では気づくことができなかった自然科学の面白さに気づいてもらえると思います。また、思わぬところで文系の専門科目とつながってくる知識を得られることもあると思います。履修を終えたときには、きっと自身の学問知識の大きな成長を感じられると思いますので、楽しみにしてください。